人はガラスを見る事ができるのだろうか?
何時かの真夏の昼間、何とは無しにラリック展に行った。
現代の生活ではお目にかかれないセンターピースやカーマスコット。ミュゲの香水瓶。
乳白色、もしくは透明なガラスの作品の数々。
目を凝らして見ても、何かが通り抜けていくような不思議な感覚に襲われた。
冷たく透明で、ソフィスティケートされたガラスという素材が嵌った時代。
人々が未来指向という夢を見始めた時代。
20年代は、疾走する現代の前触れであり、また、良き時代(Belle Époque )の終焉でもある。